瑞々しい生活1 “整体”について1
初対面の時に
「お仕事は何をされているんですか?」
と聞かれると、
私は「整体師です」と答えます。
当たり前ですが。
すると、多くの人は
「私も腰痛もちで…」とか
「めっちゃ肩こりなんです」
という所から会話が進んでいきます。
“整体”のイメージは、
体の痛いところをケアする、マッサージする、
体の歪みを正して真直ぐにする、
という感じのようですね。
そこに焦点を当てた整体を、
信念を持ってしてらっしゃる先生方も多いですし、
“整体の間”にもそれらを求めて来られている方もいらっしゃいます。
しかし、整骨・接骨・マッサージ・カイロプラクティックなどとの違いは、
一般の方だけでなく、
整体師でも曖昧にしてらっしゃる方は多いと思います。
“整体”は、一般のイメージを含めて、
もっと広い世界を持っています。
そこで、今回は、
一般的イメージ以外の部分の“整体”の世界
をご紹介したいと思います。
まずは、“整体”ってどういうものなの?
という疑問の出発点を説明しておきます。
私が整体の勉強を始めた時の、最初の頃のことです。
当時の師匠に
「ただ真っすぐにするのは駄目。
歪みや不調があるのは、理由があります。
それでバランスを取っているので、
真直ぐにする・不調を改善することで、
生活が乱れてしまうことがある」
と言われました。
「整体は、体の歪みを整えて真直ぐにすることで、
不調をお改善していくものだ。」
と私も思っていたので、
驚きと同時に、
なろほど、生活そのものまで考えないといけないんだな
と感心した記憶が有ります。
そこで、“歪み・不調がない”ことと、”整っている”
ということは別のことであって、
「環境の中で、快適な関係性をもって生きていること」
の方が大事であると学びました。
同時に、それから“整体(整った身体)”は何だろう?
という疑問を持ち続けていました。
その後、野口晴哉先生がまとめられた
“野口整体”と言われる流れの整体を学ぶことになりました。
そこでは、整体が、生活だけでなく、
生まれる前から死ぬまで、
そして未来の子どもたちの身体にまで関わっているもの
であることを知りました。
そこで、“整体(整った身体)”とは何か、
何を目指すのか、
を見つけることができたのです。
日本に有る手技療法、武道・武術の活法、
カイロプラクティック・オステオパシーなどの
専門家・療術家を集めた大日本連合治療師会で、
野口晴哉先生がそれらを整理して“整体”を形作られました。
当然、それらの技術が入っているので、
治療法の部分も有るのですが、
“整体”は、それだけに留まりません。
整体には、大きく分けて、
「整体操法」「愉気法」「活元運動」「体癖論」「潜在意識教育」
という体系が有ります。
「整体操法」:これが、皆さんのイメージする”整体”に最も近いものでしょう。
背中やお腹などの状態を観て、調整していく、
一般的な整体やカイロプラクティックなどの
“施術”の部分です。
単に「操法」とも言います。
「愉気法」:手技療法の原型である”手当て”ですね。
気になるところに手を当てて、
受けている人と行う人とが、
手で交流する。
”操法”の時は、常に”愉気”が伴います。
「活元運動」:これは説明では難しいのですが…。
「手を上にあげて…」とかの、
意識的な運動ではなく、
あくびや寝返り、くしゃみや涙など
無意識に出る体の反応を引き出して、
身体の力や感覚を取り戻していくものです。
体の力や感覚というのは、
悪いものを食べたら吐居て出すなどの内臓の働き、
状況に適した汗やホルモン分泌などの生理的な反応、
咄嗟の動きの反応や、
危険な時・場所・人物の察知や自分を高めてくれる人・物などを選ぶ
本能的な感覚などです。
「整体操法」と「活元運動」は両輪になるもので、
操法することによって活元運動を促し、
活元運動をすることで、操法の反応が敏感になります。
長くなってきたので、一度ここで休憩を入れて、続きは次回にいたします。
※この文章は、紙ベースで整体の間に来られた方にお渡ししている、
調体和塾“い座”の通信『瑞々しい生活』で掲載したものです。