6月16日。今回も初めての稽古場。
参加者達も始めての場の空気を感じ取ろうとしているのか、
会場全体がフワフワしている。
建物自体も新しく、
引っ越してきたような空虚さと新しい匂いが漂っている。
これからどんな色・匂いが付いていくのかと期待が膨らむ。
今回のテーマは「振動と共鳴」。
ピンとこない子ども達もいるが、とりあえず…。
皆で円になって声と動きの振動。
他の人達も真似っこ。
隣の人に順に伝えていく。
人から人へ伝わるごとに変化していく振動。
段々と、真似ではなく、それぞれの動き・声で、
中心の人の振動に答えている。
中心の人の振動も変化する。
ことばの意味が分からなくても、共鳴が始まった。
良い感じが出てきた頃に一回りして終了。
もっと面白くなりそうな時に…残念。
しかし、この短時間だからこそ出てきたのかも。
チームごとに分かれて出し物の打ち合わせに入る。
そんな時、パラパラパラパラ!!と
小さな物がたくさん床に零れ落ちる音が響いた。
一瞬ビクッとするが、なんて面白い音!
真新しい床に散らばった豆が、
遊びの魂を持った宝石のようにキラめく。
皆一斉に寄って来て、豆を拾い、投げる。落とす。
慌てる人も咎める人もいない。
かねのボールに投げ入れた時の金属音…いい音。
そのボールを動かして中で豆を回す。
楽しい。皆、遊びが止まらない。
ハプニングに乗って遊んでしまう。
おとあそび工房の得意技だ。
グループ発表の前に、ひなた君の宝探し。
いつの間にか会場全体に隠していた、ひなた君の宝物。
指名を受けた人が探しにいく。
その内に、自ら集めてきて皆に配りだした。
パックに入ったいろんなおもちゃ。
「かわいい!」「面白い!」「気持ち悪い!」
子どものおもちゃに大人の表情がキラキラしている。
もちろん子ども達もおもちゃで遊ぶ。
まさにお宝。
グループ発表では、宝探しのひなた君と晴琉実、白藤の
「紙・絵の振動」
ひなた君はシールを貼り、ハルミは絵を描き始める。
移動する机に、想うように貼れない。描けない。
それを楽しむ。
後ろのホワイトボードにも飛び火し、
磁石も使い出す。
途中から、ゆかちゃん、藤原さん、鈴木さんの
「からだの振動」が乱入。
三人の思い切った動きが交錯する。
ダンサー達の動きの振動が伝わったのか、
へんてこな絵、シール描写が仕上がった。
次は、まよちゃん、なっちゃん、沼田さんの「声の振動」
三人並んだ絵面がほのぼのする。
なっちゃん、沼田さんの、単調で素朴な音のやり取りが、
まよちゃんの揺れに共鳴する。
三人の安定した感じに突如違和感が生じた。
「音の振動」かつふじさんと増渕が混ざってきた。
のほほ~んとした流れの中に入り込んだノイズ。
空き瓶を吹く音が、「声の振動・共鳴」に変化を与える。
他のチームのメンバー達も混ざって音を出す、動く。
そんな全体の中で「声の振動」の三人が変化をして、
始めのほのぼの感とはまた違った雰囲気で存在している。
振動→共鳴→刺激→変化→共鳴
おとあそび工房の芯がここに有る。
少し休憩した後は、楽譜で遊ぶ。
真白な横長の紙になっちゃんが丸いシールを貼る。
五線譜も ♪ も無い。
指揮者、沼田さんが差し示す。
皆、それぞれ音を出す。
さらにシールを貼る。
指揮者はかつふじさん。
シールの色別で打楽器、吹奏楽器、声とそれぞれ音を出す。
シールが増える。
まよちゃんと藤原さんのコンビ、
初参加のそらちゃんとハルミのコンビ。
再び沼田さんの指揮が動く。
指揮に合わせてシールの色・流れが音として動き出す。
新しい部屋がおとあそび工房の
音・動き・色・匂いに満たされている。
そんな変化を、たくさんの人に味わって欲しい。
きっと、自分の中身がムズムズ・フワフワし、
今まで無かった音・動き・色・匂いが、
からだの中にあることを感じ、
小さな楽しい変化が有るんじゃないかな?