では、少し温法を具体的にご紹介します。

まずは、後頭部。
「え!」”頭寒足熱”と言うじゃないか!頭を温めるなんて!」
と言われそうですね。
生物は、冷やせば冷える物ではなく、
熱は奪えば熱が集まり、加えれば分散する性質が有ります。
そのため、頭でも炎症でも温めるのです。
(くどいようですが、火傷と熱中症以外です)
39度を越したら(平熱が低ければそれに対応した体温で)
後頭部を40分温めます。
熱が出切っていなければ、一旦上がって下がります。
出切っていればそのまま下がります。
できるだけタオルを小さくして当てて下さい。
そして、可能であれば、
自分で温めて取り換えると効果的です。

次に、アキレス腱。
アキレス腱は、眼や頭の疲れの時によく使います。
「何故眼や頭の疲れがアキレス腱?」
と思うでしょうが、頭を使うと、意識が上に上がります。
これは、体の状態としては背伸びをしているようなもので、
アキレス腱が緊張してしまいます。
そのため、座り仕事なのに足が疲れる。
というようなことが起こってきます。

 

 

また、眼の上から頭の上、後頭部を通り、
背中、腰を通って踵に付着している筋膜が有ります。
眼や頭の緊張は、
その筋膜を介してアキレス腱へと繋がっています。
月経を中心とした婦人科系のトラブルも、
眼や頭の刺激が重要な問題なので、
尾骨(後述の尾骨の焼き塩温法参照)
と共にアキレス腱を温めます。
アキレス腱が切れた場合は、
部分浴の方が効果的です。
なるべく深いバケツにお湯を入れ、脚をブラブラさせます。
アキレス腱は冷えていると縮んでしまってつながらないので、
温めて伸びてきたら愉気(手を当てる)をします。

そして鼻。
鼻の不調でも当然使いますが、
それ以外でも鼻を温める場合が有ります。
一つは四十度を超す、非常に高い熱が急に出た時
(通常、熱が高くなったら後頭部を温めますが)。
このときは、まず鼻を八分程温めます。
もう一つは頭を打った時。
(特に後頭部)脳内出血を鼻血として出してくれます。

さらに、肘。
あまり肘を温めるという印象は無いかもしれませんね。
クリエイティブな仕事をしている時などに、
発想が停滞して上手く進まなくなることが有ります。
そういう時は、一旦作業を止めて、肘を温めます。
頭が休まり、クリアになってきます。
また、心臓の不調(左肘)や
不安・心配事(右肘)などの場合も肘を温めます。
肘は、温湿布でも良いですし、
”肘湯”と言って、お湯に直接浸けて温めます。

首もよく使いますね。
首が冷えると、神経痛や喘息、貧血やめまい、
精神の不安定、胃酸過多、むくみ、胸や背中の痛み、
小便の変動など、多くの不調につながっています。
首の両サイド、胸鎖乳突筋(頭の過敏やヒステリー状態、
歩くとポキポキ鳴るなどの股関節の異常を伴う、
よく食べる、などの場合は左側)を温めて下さい。
また、熱が出たり引いたりという風邪のような時も首を温めます。

 

 

首を温めただけでは、効果が長持ちしにくい場合、
合わせて首の後ろ側の一番上”頸上”という所も、
一息入れてから温めると、保ちやすくなります。

お湯に浸けるのは”足湯”が代表的。
ほっこりするイメージで、
専用のバケツなども販売されていたり、温泉でも足湯場が有ったりしますよね。
考え事をしたり、本を読んだりスマホを触ったりしないで、
ぼーっとしながらやるのが良いのですが、
足湯は、リラクゼーションでもありますが、
何より、体を整えるものである
ということをご存知の方は少ないと思います。

 

 

特に、冷えからくる症状や、風邪の時に使います。
少し熱いかなというぐらいの温度で、
くるぶしが浸かるまでお湯を張り両足を入れます。
差し湯をして温度を保ちながら6分程。
脚をしっかり拭いて、
左右の足の赤くなっていない方を、
さらに2分程追加して温めます。
左右差を付けることによって、
偏った疲労でバランスが崩れた体を整えてくれます。
胃や腸の不調が有るときは、
膝下までお湯に浸ける脚湯を行います。

他にお湯に浸けるのは、
先ほどの肘湯や指湯も有ります。

このシリーズは、もう少しだけ有ります。
再び休憩を入れて、続きは次回にいたします。

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